フィリピンにおいて特許を受けることができる発明の要件は何ですか?
発明が特許を受けるためには、人間の活動のすべての分野における課題についての技術的解決でなければならない。発明は新規であり、進歩性を有し、かつ、産業上利用可能性を有しなければならない。
フィリピンではコンピュータソフトウェア又はプログラムに特許を受けることができますか?
フィリピン知的財産法Section 22.2は、コンピュータソフトウェア又はプログラムは特許を受けられない旨を規定しています。コンピュータソフトウェア又はプログラムは、知的財産法Section 172(n)において、著作権で保護されます。
フィリピンで植物の品種、動物の品種は特許を受けられますか?
植物の品種,動物の品種並びに植物及び動物の生産の本質的に生物学的な方法は、フィリピンで特許を受けることができません。しかしながら、植物の品種は2001年植物品種保護法(Plant Variety Protection Act of 2001)で独自に保護されます。
本規定は,微生物及び非生物工学的かつ微生物工学的な方法には適用されません。微生物及び非生物工学的かつ微生物工学的な方法には、植物の品種,動物の品種の保護を禁止するフィリピン知的財産法Section 22.4が適用されません。
自然に由来する物は特許を受けることができますか?
フィリピンでは、自然物そのものは特許を受けることができません。しかしながら、自然に由来する物であって自然物そのものでない場合、特許を受けることができます。例えば、微生物から分離した抗生物質は特許を受けることができます。
特許を受ける権利は誰に帰属しますか?
特許を受ける権利は,発明者,その相続人又は譲受人に帰属する。2以上の者が共同して発明した場合は,特許を受ける権利は,それらの者すべてに帰属する。
2以上の者が相互に別個にかつ独立して発明をした場合は,特許を受ける権利は,その発明について出願をした者に帰属し,同一の発明について2以上の出願があった場合は,特許を受ける権利は最先の出願日又は優先日を有する出願の出願人に帰属する。
契約に別段の定がない限り,その委託をした者が当該特許を所有する。 従業者がその雇用契約の期間内に発明をした場合は,特許は次のように帰属する。
発明行為がその正規の職務の一部ではない場合は,従業者が使用者の時間,設備及び材料を使用する場合であっても特許は従業者に帰属する。
発明が従業者に正規に課された職務の遂行の結果である場合は,別段の明示の又は暗黙の合意がない限り特許は使用者に帰属する。
フィリピンでは誰が特許出願をできますか?
フィリピンでは下記の者が特許出願できます。
- フィリピン国民
- フィリピンが加盟する知的財産または不正競争の抑止に関する協定、条約または合意の加盟国、または法律によってフィリピン国民に相互主義が適用される国の国民、居住者または真正かつ有効な工業設備を持つ者
特許庁に対して出願人を代理できるのは誰ですか?
出願人がフィリピンの居住者であれば特許庁に対して出願手続をすることができます。代理人を選任することもできます。
出願人がフィリピンの居住者でない場合、フィリピンに居住する代理人又は代表者を選任しなければなりません。
フィリピンに特許出願をするにはどのようなルートがありますか?
フィリピンに特許出願をするには2つのルートがあります。すなわち、
- 特許協力条約(PCT)ルート
- パリ条約/直接出願ルート
特許協力条約(PCT)ルート
PCT出願の国内移行の要件は何ですか?
国内移行して国内移行の日を確定するには、出願人はArt. 22(知的財産庁指令により修正)またはArt 39(1)(a)に規定する優先日から30カ月以内に、知的財産庁に以下のものを提出しなければなりません。
- 国内書面
- 出願人がPCT/IB/308を受領していない場合であって、国際特許出願が英語でない場合は、国際特許出願の英訳
- Article 19及び/又はArticle 34に基づく補正の英訳
国内移行期限の延長は可能ですか?
はい。PCT出願の国内移行の30カ月の期限は、料金を支払うことにより1カ月延長することができます。
料金の支払は国内移行の日の確定に必要ですか?
いいえ。国内移行の日の確定に料金の支払は必要ではありません。しかしながら、料金の支払は、国際特許出願を国内段階に移行するために必要です。国内移行の日から1カ月以内に料金を支払わない場合、フィリピンにおいて国際特許出願は取り下げたものとみなされます。
先にされたフィリピン出願を優先権主張の基礎とする国際特許出願は、先の出願において既に支払われた料金は免除されます。
国内移行にはどのような書類が必要ですか?
- 英語で記載された考案の詳細な説明(考案の名称を含む)
- クレーム(英語で記載のこと)
- 要約
- PCT Art. 19に基づくクレームの補正がなされた場合、その英訳
- PCT Art. 34に基づく考案の詳細な説明、クレーム又は図面の補正が国際予備審査報告に含まれている場合、その英訳
- 図面がある場合は、図面
- PCT/IB/304フォーム(優先権がある場合)
PCT出願について注意すべき重要な期限は何ですか?
国内移行の日から6カ月
優先権証明書
優先権を主張する先の出願の優先権証明書は、優先日から16カ月以内に国際事務局(IB)に提出しなければなりません。
上記の期間内に国際事務局に提出できない場合、国内移行の日から6カ月以内に優先権証明書をフィリピン知的財産庁に期間延長費用とその他料金表で定める費用を添えて提出しなければなりません。そうしない場合、出願人は優先権を失うことになります。
実体審査請求
国内移行の日から6カ月以内に実体審査請求をし、実体審査請求料を支払わなければ、出願は取り下げたものとみなされます。
国際公開の日から4年
特許年金の支払期限は、国際公開の日から4年及びその後1年毎の該当する日です。出願が取下げ、拒絶又は取り消された場合、年金の支払義務は終了します。
分割出願の年金支払期限は、国際公開の日から4年及びその後1年毎の該当する日です。出願が取下げ、拒絶又は取り消された場合、年金の支払義務は終了します。
先にしたフィリピン国内出願を基礎とする優先権を主張して国内移行する場合はどうすればいいですか?
出願人は2つの出願のうち権利化する1つの出願を選びます。出願人が国内移行の日までに選ばない場合、知的財産庁は2カ月またはそれ以上の期間を指定して出願人に選ぶよう依頼しますが、指定期間が国内移行の日から6カ月を超えることはありません。
国内移行に優先権証明書の提出は必要ですか?
いいえ。国内移行のために優先権証明書の提出は必要ありません。しかしながら、規則によって知的財産庁が優先権証明書の提出を求める場合があります。
国内移行後に発明の詳細な説明、クレーム及び図面を補正できますか?
はい。国内段階であっても国際出願の登録査定または拒絶査定の前であれば、知的財産法及びその施行規則に基づき、出願人はいつでも発明の詳細な説明、クレーム及び図面の補正をすることができます。
国際出願はフィリピン知的財産E-Gazetteで公開されますか?
PCT出願に基づいて国内移行された出願は、リスト(国内移行された国際出願のリスト)の形で公開されますが、(出願全体を)公衆に公開するという目的では公開されません。PCT出願に基づくフィリピン特許出願は、知的財産法Section 44に基づいて、国際公開の日に公開されたものとみなされます。
国際出願の年金はいつ支払うべきですか?
特許年金の支払期限は、公開の言語にかかわらず、国際公開の日から4年及びその後1年毎の該当する日です。
国内段階における国際出願の権利化にはどの法律が適用されますか?
適用できる知的財産法及びその施行規則、特許協力条約、PCT規則及び実施細則が、国内段階の国際出願に適用されます。
PCTを通して登録された特許の権利期間は何年ですか?
国際登録日から20年です。
フィリピンにおいて適用されないPCT規則は何ですか?
- Rule 26bis.3(j), 49ter.1(g), 49ter.2(h) 優先権の回復
- Rule 49.6(f)第22条(国内移行)に規定する行為を行わなかった場合の権利の回復
パリ条約/直接出願ルート
出願人はどのようにしてパリ条約/直接出願ルートで出願日を確保できますか?
出願人は、出願日を確保するために以下のものをフィリピン知的財産庁へ提出しなければなりません。
- 願書
- 出願人の氏名、住所及び署名。出願人が在外者の場合、代理人の氏名及び住所
- 発明の明細書及び1以上のクレーム並びに図面(もしあれば)
優先権を主張する場合、基礎となる出願の出願日、出願番号、国名を提出しなければなりません。
特許出願の優先権主張はどのようにして行うのですか?
フィリピン国民と同等の待遇を受けられることを条約、協定、又は法律で定めている国において先に出願をした者が、同じ発明を出願した場合、以下の条件を満たすならば、外国出願の日に出願されたものとみなされます。
- 国内出願において優先権主張がされていること
- 最初の出願の出願日から12カ月以内にフィリピン出願がされていること
- 優先権証明書及びその英訳がフィリピン出願の出願日から6カ月以内に提出されていること
フィリピンにおける特許出願には何が含まれていなければなりませんか?
A 出願書類には,次のものを含める。:
特許の付与を求める願書;
発明の明細書;
発明の理解に必要な図面(もしあれば);
1以上のクレーム,及び
要約
フィリピンの特許出願はどの言語で出願しますか?
特許出願書類は,フィリピン語又は英語によるものとする。
フィリピン特許出願では、発明はどのように開示されますか?
出願書類においては,当該技術の熟練者が実施するために十分な程度に明確かつ完全な方法で発明を開示する。
出願が微生物学的方法又はこれにより得られる物に関連し,かつ,微生物の使用を必要とする場合において,その発明を当該技術の熟練者が実施することができるような方法では,その微生物を出願に十分に開示することができず,また,その微生物を公衆の利用に供することができないときは,出願は,寄託が公認の国際寄託機関になされた場合にのみ許可される。
既に公衆に開示された発明について特許を受けることはできますか?
はい。フィリピン知的財産法第25条によれば、当該出願の出願日又は優先日の前12カ月の間における当該出願に含まれている情報の開示は,その開示が次の場合に該当するときは新規性の欠如を理由として当該出願人を害さないものとすると規定しています。
- その開示が当該発明者によってなされた場合
- その開示が特許庁によってなされ,当該情報が下記に含まれている場合
a.当該発明者がした別の出願であり,かつ,当該庁によって開示されるべきではなかったか、または、
b.当該発明者から直接又は間接に当該情報を得た第三者により当該発明者の認識若しくは同意なしになされた出願
- その開示が当該発明者から直接又は間接に当該情報を得た第三者によってなされた場合
異なる複数の発明を1つの特許でカバーすることはできますか?
いいえ。出願は,1の発明又は単一の包括的発明概念を形成する一群の発明についてのみ行う。
特許出願が公報で公開される前の発明は保護されますか?
いいえ。特許出願が公報で公開される前の発明は保護されない。しかしながら、公開されるに至っていない特許出願及びそのすべての関係書類は,出願人の同意がない限り閲覧に供することはできない。
特許出願が公報で公開された後で特許が付与される前は、発明にどのような保護が与えられますか?
フィリピン知的財産法第46条は、出願人は,公開された出願において請求している発明について出願人の許可を得ないで第71条の規定により与えられる権利の何れかを使用した者に対して,あたかもその発明について特許が与えられているかのように第76条に規定する特許権者の権利のすべてを有すると規定する。ただし,訴訟は,当該公開された出願に特許が付与されるまで,かつ,訴える行為がなされてから4年以内は提起することができない。
フィリピンの特許出願に対して異議申立は提起できますか?
いいえ。特許出願の公開の後,第三者は,その発明の特許性について書面により所見を申し立てることしかできない。所見は,出願人に送付され,出願人は,所見について見解を述べることができる。庁は,所見及び見解を受け取ったことを通知し,それらをそれらが関係する出願のファイル・ラッパーに収める。
パリ条約/直接出願ルートでなされた出願はフィリピン知的財産E-Gazetteで公開されますか?
はい。出願は、知的財産庁によるサーチ報告とその先行技術の引用例と共に、出願日から18ヶ月後にフィリピン知的財産E-Gazetteで公開されます。
フィリピン知的財産E-Gazetteに公開される前の特許に係る発明は保護されますか?
いいえ。フィリピン知的財産E-Gazetteに公開される前の特許出願に係る発明は保護されません。しかしながら、特許局は特許出願を秘密にする義務があります。公開されていない特許出願及び関連する書類は、出願人の同意なしに調査されることはありません。
フィリピン知的財産E-Gazetteに公開された後、特許査定までの間に発明に与えられる保護は何ですか?
フィリピン知的財産法Section 46は、出願人は、第三者が公開された出願に係る発明であることを知っていて出願人の承諾なしに発明を利用した第三者に対して、特許権者が持つ全ての権利を有すると規定します。しかしながら、権利行使は特許査定されるまでできず、訴えに係る行為がなされてから4年を過ぎた後もできません。
公開後、特許出願は自動的に審査されますか?
特許出願は自動的に実体審査に進むことはありません。出願人は公開日から6ヶ月以内に実体審査を請求しなければならない。請求し、かつ、所定の期間内に手数料を納付しない限り、出願は取り下げられたものとみなされる。
出願が審査官によって拒絶された場合、出願人を救済する方法はありますか?
はい。審査官が特許出願を拒絶した場合、拒絶査定に対する不服申立てを特許局局長にすることができます。局長が審査官の判断に同意した場合、知的財産庁の長官に不服申立をすることができます。長官が拒絶する判断を下した場合、控訴裁判所に不服申立することができ、最終的にはフィリピン最高裁判所に出訴することができます。
フィリピンではどの時点で特許が有効となりますか?
特許はフィリピン知的財産E-Gazetteに公開された日に有効となります。
フィリピンの特許権の権利期間は何年ですか?
特許権の権利期間は、フィリピンにおける出願日から20年です。
フィリピンにおいて特許権者に与えられる権利は何ですか?
フィリピン知的財産法第71条によれば、特許権者は次の独占権を有します。
- 特許の対象が物である場合、特許権者は、許諾を得ていない者による当該物の生産,使用,販売の申出,販売又は輸入を止めさせ,妨ぎ又は防止する権利を有する
- 特許の対象が方法である場合、特許権者は、許諾を得ていない者による当該方法の使用並びに当該方法により直接的に又は間接的に得られる物の製造,取扱,使用,販売若しくは販売の申出又は輸入を止めさせ,防止し又は妨げる権利 を有する
- 特許権者は,また,その特許を譲渡し又は承継により移転する権利及びその特許についてライセンス許諾契約を締結する権利を有する。
特許権者の排他的権利の例外はありますか?
はい。フィリピン知的財産法第72条は、特許権者は,次の場合においては第三者が特許権者の許諾を得ないで第71条にいう行為をすることを防止する権利を有さないことを規定します。
- 特許製品の所有者により又はその者の明示の承諾を得てフィリピン市場に出された当該物を使用する場合
- その行為が私的にかつ非商業的規模において又は非商業的目的のためになされる場合。ただし,特許権者の経済的利益を重大に害さない場合に限る。
- その行為が、専ら特許発明の内容に関する実験の目的のみに使用される場合
- その行為が、個人のために,薬局又は薬剤師が処方に基づいて製剤する行為,又はその製剤された薬剤に関連する場合
- 特許発明がフィリピンを通過する乗物に使用されている場合。そのような使用は専ら乗物に必要なものであって、フィリピンで販売される物品の生産のためのものであってはならない。
善意の特許発明の先使用者は特許侵害の責めを負いますか?
いいえ。特許が付与される出願の出願日又は優先日の前に企業若しくは営業において善意で当該発明を使用していたか又は当該発明を使用する真摯な準備をしていた先使用者は,当該特許がその効力を生じる領域内においてその準備において意図していた当該発明の使用を継続する権利を有する。
フィリピン政府は特許権者の承諾なしに特許発明を実施することができますか?
はい。政府機関又は政府の許可を得た第三者は,特許権者の同意がなくても次の場合は発明を実施することができる。
政府の適当な機関が定める公共の利益,特に国家の安全,栄養若しくは健康又はその他の分野の発展のために必要な場合
特許権者又は実施権者による実施の態様が反競争的であると司法機関又は行政機関が決定した場合
特許によって与えられる保護の範囲は何ですか?
フィリピン知的財産法第75条は、以下の通り規定する。
特許により与えられる保護の範囲は,クレームによって定める。クレームは,明細書及び図面を考慮して解釈する。特許により与えられる保護の範囲を定めるにあたっては,クレームに記載されている要素のみならず均等物をも含んでクレームが考察されるように,クレームに記載されている要素に均等である要素を適切に考慮する。
年金はいつ支払うべきですか?
最初の年金は、出願がフィリピン知的財産庁E-Gazetteに公開された日から4年以内に支払わなければなりません。その後の年における公開日に対応する日に年次手数料を納付しなければならなりません。
利害関係人は特許を取消すことができますか。
はい。利害関係人は,所定の手数料を納付することにより,次の何れかの理由に基づいて特許又はそのクレーム若しくはその部分を取り消すことを請求することができる。
発明が新規でないか又は特許することができないものであること
特許が,当該技術の熟練者が実施することができる程には十分に明確かつ完全には当該発明を開示していないこと
特許が公序良俗に反すること
特許権者は特許権侵害に対してどのような救済が受けられますか?
特許侵害に対し、特許権者は以下の請求のいずれもすることができる。
- 損害賠償、侵害によって受けた損害及び弁護士費用その他の訴訟費用の侵害者による弁償並びに自己の権利の保護のための差止を求めて管轄裁判所に提起する民事訴訟。侵害訴訟の提起より4年以上前になされた侵害行為については,損害賠償を請求することができない。侵害者がその特許について知る前、または知らないことに理由がある場合、侵害による損害賠償は請求できない。
- 特許侵害に関する刑事訴訟は,罪を犯した日から3年以内に提起しなければならない。
- 以下の機関に提起する行政訴訟
(i) Department Administrative Order 01, Series of 2000, implementing E.O. 913 and Ministry Order No. 69に基づいて、通商産業省
(ii) 損害賠償額が200,000ペソを超える場合は、知的財産庁の法律局
保全処分は、裁判所規則に基づいて管轄裁判所によってなされる。侵害訴訟を提起する前に、侵害行為があってから4年以上経過している場合、損害賠償は請求できない。
フィリピンでは失効した特許の回復はありますか?
いいえ。フィリピンでは失効した特許の回復はありません。